「パーソナリティ障害 いかに接し、どう克服するか」を読んだ
「パーソナリティ障害 いかに接し、どう克服するか」という本を読みました。
前回ブログに書いた「自分に気づく心理学(愛蔵版)」がきっかけで心理に興味をもち、prime readingの対象だったので読んでみました。
著者は岡田尊司さん。
東京大学哲学科を中退して医学の道を志し、京都大学で医学博士を取得。
精神科医として京都医療少年院、京都府立洛南病院などに勤務。
2013年には悩みや不安を抱える人が気軽に立ち寄り相談できる場として心療内科の岡田クリニックを開院されています。
著書には他に「ストレスと適応障害」「愛着障害」などがあり、小笠原慧のペンネームで小説も執筆されているそうです。
「自分に気づく心理学(愛蔵版)」は生きづらいと感じている人、社会にうまく適応できないと感じている人に気づきをもたらす内容で、パーソナリティ障害の話やその種類の話は出てきませんでした。
一方、「パーソナリティ障害 いかに接し、どう克服するか」は、なぜ生きづらいのかをパーソナリティ障害という観点から見ていこうという内容。
10のパーソナリティ障害の特徴と背景、接し方のコツ、克服のポイントが紹介されていました。
本の最後には自己診断シートがあり、10のパーソナリティのうち自分はどの傾向が強いか把握できます。
感想
本では、以下のように単なるパーソナリティとパーソナリティ障害を区別しています。
適応上差し支えない範囲のものを、単に「パーソナリティ」、病的なレベルのものを「パーソナリティー障害」として区別した。
パーソナリティ障害まではいかなくとも、どことなく生きづらさを抱えている場合、パーソナリティの傾向の把握は役立ちそうだなと思いました。
個人的には本の「おわりに」に記載されている次の文言が印象に残りました。
かつて、学ぶとは、人としての道を修めることであり、それは、すなわち人格を陶冶することに他ならなかった。
「学ぶ=何らかのスキルや知識の習得」のイメージが強かったはちみつには新鮮な考え。
マークシートで、正答か誤答かだけを判定する教育は、やはり何か大切なものを切り捨てているように思えて仕方がない。
ともありましたが、その通りだと思います。
マークシートのテストで良い成績を修めようとするものほど、スキルや知識の習得にばかり目がいき大切なものに気づけない。
生きていく上で大切にしたいこととか、善悪の判別とかがあやふやなまま大人になってしまう。
マークシートのテストにくだらなさを感じながらほどほどに勉強しつつ、与えられる教育以外の自分から掴みにいく経験を楽しむ人の方が、よっぽど大切なものに気づいて人として成熟していく。
手のかからない子供ほど後が怖いのかもしれない。
この本は2004年6月に初版が発行されています。
17年近く経った今。
発行当時と同じくらい、あるいはそれ以上に生きづらさを抱えている人が増えているかもしれません。
本の「おわりに」には以下の文章がありました。
これから、再び大きな価値観のシフトが起こるだろう。心の在り方や身の施し方が重要視される時代が来るだろう。いや、そうならなければ、この世は、住みにくくてどうしようもない世界になってしまうだろう。
働き方、ライフスタイルの価値観のシフトは、新型コロナウイルスの影響で現在進行中ではないでしょうか。
ウイルスとの気の抜けない戦いの最中。
親しかった人との思わぬ考え方の違いに気づかされたり、世間とのずれに気づかされたり。
心の在り方や身の施し方に気を配りたいと思いました。