「20代で得た知見」を読んだ
「20代で得た知見」という本を読みました。
著者自身の経験や、著者が数百名の様々な地位や立場の人に尋ねた「二十代のうちに知っておいた方が良いこと」が記されています。
このように記すとなんだか堅いイメージをもたれそうですが、この本はいわゆる"新書"とか"自己啓発本"とは性質が異なります。
ジャンルで言えば恐らくエッセイで、文章なのに語りかけられているような、秘密の話を打ち明けてもらっているような、そんな感覚に陥る本でした。
著者はFさん。
本に記されたFさんの情報は以下の通りです。
1989年11月生まれ。神戸出身、新宿在住。男。
「いつか別れる。でもそれは今日ではない」や「真夜中乙女戦争」も執筆されています。
構成は以下の通りです。
第1章 不完全からの出発
第2章 現実に関する幾つかの身も蓋もない事実
第3章 アンチ・アンチロマンチック
最終章 愛に関する幾つかの殴り書き
感想
冒頭の「ご挨拶」から引き込まれました。ご挨拶の中で以下のような言葉があります。
「二十代の人生は、忘れがたい断片にいくつ出会い、心を動かされたかで決まる」
私はその断片を「二十代で得た知見」と名づけることにしました。
ああ、この本でいう知見とはこういうことか。
断片は思いもよらないときに出会うものだし、なかなか他者の断片に触れる機会もない。
色んな人の断片をのぞかせてもらえるなんて、なんて贅沢なんだろうと思いました。
色んな人の断片なので内容も多様です。
刺さるもの、涙が出てくるもの、思わず笑ってしまうもの、切なくなるもの、納得するもの、わからないもの。色々でした。
読む人によって断片から受ける印象は異なるでしょうし、未来の自分が再読しても再発見があると思います。
この本の初版発行は2020年9月19日。
世界はすでにコロナ禍にあり、色んな人が色んな思いを抱えていた。
考えのすれ違いから生まれる孤独感、他者への疑心暗鬼、大切な人に会えない寂しさ、制約ある行動への息苦しさ、理解できない行動への憤り。
この本はそんな思いも受け止めてくれるようで。
色んな断片に触れるうちに、心が柔らかくなった気がします。
人って愛おしい。そんな気持ちになりました。
あと内容の感想からは逸れるのですが、この本は久々に物理的な本で読みました。
最近は電子書籍が多かったので。
手触りや色合いなど、物理的だからこそ感じられる情報を懐かしく感じました。
たまには物理的な本もいいですね。
参考
https://www.amazon.co.jp/F/e/B07PQVH2XJ/ref=dp_byline_cont_pop_book_1