「コンサルを超える 問題解決と価値創造の全技法」を読んだ

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コンサルを超える 問題解決と価値創造の全技法」という本を読みました。

この本では、コンサルの問題解決の技法とその限界を説明するとともに、コンサルを超えた思考法・発想法について述べています。

コンサルを目指す人だけでなく、コンサルの技を導入したいと考える企業、組織、社会人など、思考法や仕事術を学びたいと考える多くの人に宛てた本のようです。

著者は一橋大学大学院経営管理研究科特任教授の名和 高司さん。
マッキンゼー・アンド・カンパニーとボストン コンサルティング グループの2つの外資コンサルティング・ファームに勤めた経験を持ち、両方を知る立場を生かして執筆されています。

本は以下の3部構成です。

  1. コンサルの基本技
  2. 超一流コンサルのスゴ技
  3. コンサルを目指す、コンサルを超える

概要

1.コンサルの基本技

この第一部が本の約6割を占めています。
コンサルが問題解決に用いる基本技(ロジカルシンキングフレームワークなど)を紹介しつつ、その限界と限界を超えるための方法が述べられています。

はちみつはそもそも基本技すらよく知らない状態だったので、思考法に圧倒されてしまいました。(正直理解しきれていないところもあります)
基本技を知っている方でも、その限界が示されているため新たな発見があるのかもしれません。

たとえば分析でよく使われる事象を細分化する手法。MECEに(=漏れなくダブりなく)分けるのは大切ですが、目的は完璧に分けることではないと記されていました。
確かに、現実の問題は複雑でMECEに分けるのが難しい場合も多そうです。

うまく切れないところから違う答えが見えてくるところにこそ価値がある

というのは、個人的に目から鱗でした。
基本技から得た結果を異なる視点から捉える発想が紹介されています。

2.超一流コンサルのスゴ技

第二部では、超一流のコンサルである大前研一さんのスゴ技として以下の3つが紹介されています。

①左脳(ロジカル)と右脳(クリエイティブ)の連結
②関連付ける力
③究極からの逆算

だいぶ雑なまとめ方になってしまいますが、究極を想定したうえで今からどうするかを考える。その際、左脳と右脳の連結と関連付ける力が優れているため、常識では考えられないような発想が出てくる、ということかと思います。

大前さんは相手をその気にさせることにも長けており、相手がその気になり行動した結果、仮説通りになっていったそうです。

また第二部では「人間がAIに勝てる部分は残されているのか」という内容も語られていました。

3.コンサルを目指す、コンサルを超える

第三部では、「コンサルを目指す人」「コンサルを超えたい人」「社会課題を解決したい人」へのメッセージが記されています。

「コンサルを目指す人」へのメッセージでは、コンサルの3つの採用基準と、よいコンサルになるための要件が記されています。

「コンサルを超えたい人」へのメッセージでは、コンサルを超えたビジネスパーソンとなるための行動指針が記されています。

最後の「社会課題を解決したい人」へのメッセージでは、この本の問題解決の思考法が社会課題の解決の手段にもなると記されています。

感想

コンサルの基本技への理解も浅い状態で読んでしまったので、情報量が多く感じました。
問題解決能力を高めたいなら、まずは基本技を身につける必要があるのかなと思います。でもそれでは不十分で、その限界を超えていく必要がある。

何かを習得する際、型を学んで自分のものにし、最終的にはその型を破りより良い(自分に合った)ものにしていく、という流れがありますが、思考法も同じなのかもしれません。

型にはまったレベルは、より多くの要因を考慮でき処理能力の高いAIに任せてしまってもいいはずです。型破りの、過去から非連続な発想こそ人間ならでは。

本では、

何が善かを見極める力こそが、人間がAIに勝つ最後の砦であるらしい

と記されていました。

基本技とかの習得は前提として、結局最後は人間性が大事だし、善を見極められる自分の軸がある人が強いという話になるのかなと思います。